牡丹の花と獅子!!

今月の初旬、久しぶりに長谷寺に参詣しました。

庭の牡丹の花は咲き終わっていましたが、鉢植えの花は美しく咲き誇っていました。

牡丹の花は獅子と一緒に描かれ、古くから調度品などの図案に用いられています。

刺青のイメージもありますね。

百花の王である牡丹と百獣の王である獅子の縁起の良い組み合わせ。

また、「獅子身中の虫」の諺からの由来との説があります。

写真のショールは、大正15年生まれの伯母から頂いたビロードのショールです。

時代背景もあり、女性の着物や帯にも、牡丹と獅子の図案が多くあったと聞いています。

(ショールのフリンジと裏地は新しくしています。)

  

 

風景を纏(まと)う!!

感染症も一段落。行楽に出掛けたい季節になりました。

写真は野辺に遊ぶ童女たちを描いた訪問着です。

このように人物がいて風景を描いた図案は、各時代の絵巻物や屏風に仕立てられた風俗画などを題材にしています。

黒留袖 高貴なお方のお出掛け

 

祈りの刺繍(ししゅう)

3月はお彼岸の墓参り、また寺院に参詣し写経をされた方もおられると思います。

写経は一文字一文字が仏の教えとされ、祈りの実践と言われています。

鎌倉時代から室町時代には、極楽往生を願う人々が刺繍という表現で仏の姿や経典を一針一針繍

(ぬ)って奉納したものが、多く残されています。

刺繍は図柄などを装飾的に施すイメージがありますが、古代より仏教と共に歩んだ歴史があります。

写真は、染織の美(9)日本の刺繍P12 1981年京都書院

七宝文様(しっぽうもんよう)

先日、乗車した新しい車輌の近鉄特急(大阪難波―名古屋間運行)は、中に入ると座席の生地が七宝文様になっていました。

外国からのお客様を意識されてのことでしょうか。

このような和の文様を採用されたのは初めてだと思います。

七宝もこれまで紹介した文様と同じく、吉祥文様になります。

名称の由来はちょっと変ですが、四方が連続する繁栄の意味があり、おめでたい文様の「四方」が「七宝」に訛ったのではないかと考えられています。

本来の七宝(七種の宝物)とは、金、銀、瑠璃(るり)、瑪瑙(めのう)、真珠、白珊瑚、水晶のことです。

 

卒業制作(仮絵羽を仕立てる)

毎年1月には、畿央大学 健康科学部 人間環境デザイン学科 アパレル・造形コースの学生さんが卒業制作の仕上げの作業を学びに来られます。

自ら糸を染め、整経し、織った反物を仮絵羽(展示用)に仕立てて、作品の発表に臨まれます。

ご担当の教授は「このコースの学生は少ないですが、学校法人冬木学園の原点なので大切に守っていきたい」とおっしゃっています。

私も2019年に96歳で亡くなられた創設者の冬木智子先生には敬愛の念を持っていますので、このようなお手伝いが出来てうれしく思っています。

 

 

雪輪(ゆきわ)

全国的なクリスマス寒波で、我が家の庭にも薄っすら雪が積もりました。

さて、雪の結晶の六角形を円形にした文様を雪輪といいます。

既に桃山時代には能装束などによく用いられていたようです。

この文様は冬限定のイメージではなく、図柄の輪郭として活用されています。

本当にお洒落で、可愛いいデザインです。

今年も「和裁あれこれ話」をご覧いただきありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

奈良 田原本 流鏑馬(やぶさめ)!!

私の町では中世の史実を基に流鏑馬を「まつり」として復活させました。

約250mの馬場を全力疾走する馬上から弓を放つ勇壮な姿は感動的でした。

射手の装束は鎌倉時代からの武士が狩をする時の姿で、腰には鹿葦の覆い野を着けています。

また、江戸時代には徳川吉宗公の命により考案された(流鏑馬の普及のため)軽装な装束も拝見できました。

行事を執行されたのは弓馬術礼法の伝統を継承している小笠原教場の方々です。

お宮参りの祝着を七五三用にお直し!! ~三歳児のエピソード~

今年も幾つかのお直しをさせていただきました。

ご依頼を受けるとお子様も一緒に当方に来てもらうのですが、多くの三歳児はこんな感じです。

(今日は家族でお出掛けだ)と思っていたら知らないお家に着きました。

大人たちが挨拶をし、靴を脱がされ一緒に部屋に入ります。

(何が始まるのだろう?わくわく!!)と思っていたら「ちゃんと立ちなさい」とか「手を伸ばして」とかママに言われて(何だか嫌な予感。ひょっとして痛いことされるかも)

何とかなだめてもらって寸法を確認します。ホッとして、もっとここにいるのかと思ったら(えっ?もう帰るの?!!)

そして、仕上がりの日には玄関でお渡しするのですが(この前に来た家だ!!)自分から靴を脱いでもう上がっている子もいます。パパやママから「駄目よ」と言われて(えっ?何で上がらないの)しぶしぶ靴を履いて帰って行きます。(この家って何なの?)

みんな元気に大きくなってネ!!

 

 

 

 

庭間建築の装飾(2)

州浜(すはま)文様

京都御苑内の拾翠亭(しょうすいてい)は九條池と呼ばれる園池を望むように建っています。

池のほとりにある腰掛待合いの板壁には、水辺の様子を表した州浜文様の装飾が施されています。

丁子も州浜も平安時代には確立されていた文様で、着物の文様としては勿論のこと、様々な分野で現在でも私たちの身近にあります。

 

菓子鉢

庭間建築の装飾(1)

丁子(ちょうじ)文様

京都御苑内の拾翠亭(しょうすいてい)を見学する機会がありました。

この建物は江戸時代後期に建築された九條家の遺構で、公家の生活文化を偲ぶ貴重なものとされています。

二階広間の窓には丁子文様の装飾がありました。

丁子は、香料クローブのことで香の力で邪気を払うと考えられ、宝尽くしの文様の一つとして、着物の文様にも使われています。